中河原地区|諏訪盆地の集落と地盤

<絵図と地形>

 図左(西)に宮川の川筋が、図右から左(東から西)に上川扇状地が張り出す様子が描かれその中央に集落が置かれている。宮川通りには川よけ(除)わくと川除請土堤が設置され、上川通りには規模の大きな川除石垣と川よけわくによる護岸が施されている。耕地は、下流集落に較べて田(水田)が少なく、畑や荒地が多い。畑地は、河筋に沿う荒地や灌漑用水を導くことの出来ない微高地を耕し、豆類を栽培したと思われる。添え書きに家数32軒、元高213石8斗4升、物成91石7斗9才、内1石3斗3升9合6勺大豆と記される。

 上川と宮川の扇状地が複合した地域を表している。南方向から宮川が流下し沖積低地を形成する。東方から盆地内に流下する上川は、河流が旺盛であるため扇状地が西に張り出し宮川の流れに達している。
 上川左岸には畑荒地阿原が広く残り、その中に川除石垣(石積堤防)が設置される。川除石垣には、川よけわくが組み込まれている。
 上川右岸の横内集落図幅には、左岸と同様に巨礫を用いた川除けの堤が描かれている。(横内図を参照願いたい。)
 宮川右岸には、川よけわくと川除請土手の護岸が施されている。
 上川扇状地の中央部の高まりに戸数32軒の集落が成立し、扇頂部に畑、扇央から扇端部に田が展開していることが分る。

中河原村  家数 三拾弐軒 内侍屋敷壱軒
      御城より弐里六町弐拾八間五尺 宿迄
     元高
      高  弐百拾三石八斗四升
         物成 九拾壱石七斗九才
          内 壱石三斗三升九合六勺 大豆

<地質>

 上川扇状地を構成する砂礫層が卓越分布する。

〔No.1地点〕
 上川扇状地中央部のやや宮川扇状地寄りの地点に相当する。上川の河床砂礫が茅野橋付近から西方に張り出し、宮川低地に接しようとする。これよりさらに南方では、宮川に沿う低地性軟弱土層(シルト・粘土)が地表面に分布するが、この調査地点では礫混り土砂の人工盛土の下に薄い旧耕作土を挟み玉石砂礫層が現われる。以深は、密に締った粘性土混り砂礫層と玉石混り砂礫層が続く。

 

〔No.2地点〕
 上川扇状地の扇央から下流部にかけての区域に相当する地点のボーリングデータである。(平成9年調査時の地点名は、宮川下河原となっている。)
 GL~-1.75mまで旧耕作土と思われる有機質シルト、GL-4.00mまでシルト挟在砂礫があり、下位に玉石混り砂礫層が現われる。GL-8.05mから再びシルト混り砂礫が現われ、GL-11.50m以深の玉石混り砂礫層へと連なる。
 表土層を除きN値30以上の密な砂礫層が連続して分布している。